指を切断

血行を良くして再生機能を促進する

指を何らかの理由で切断しても、すぐなら再接着が可能かもしれない、という話をご存知だろうか。いったん切れたものでも、肉が再生する力で再びくっつくというわけだ。その役割を促進する軟膏として、太乙膏(たいつこう)というものがある。スケプティクスな話だが、急なアクシデントのために常備薬として置いておくと有効というのが今回の話である。
もちろん、そんなことを書くとどんな切断でもすべて再接着できてしまうように誤解されるかもしれないが、そのように無原則な保証をしているわけではない。

あくまでも、細胞の壊死が限局的な場合のことだ。つまり、切断されてすぐなら、という話である。

人間の細胞には、再生力が働く。いったん切れたところが、またくっつく力がある。そうでなければ、スケプティクスな話になってしまう。擦り傷や切り傷が治る説明がつかないからだ。

しかし、完全に切断されるということは、組織として切れてしまうということである。しかも、切れた方は血流がないわけだから、細胞は次第に死んでいく。早めの対応が必要ということだ。

で、そんなときの応急措置に有効なのが太乙膏(たいつこう)であると、『日刊ゲンダイ』(2014年9月26日付)における「漢方達人をめざせ」という連載で、久保田佳代氏が書いているのだ。

神仙太乙膏ともいわれているこの軟膏は、中国・宋の時代の太平恵民和剤局方という書籍に収録されていた処方といわれている。

当帰(トウキ)、桂皮(ケイヒ)、大黄(ダイオウ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、玄参(ゲンジン)、白し(「し」は草かんむりに止=ビャクシ)という7種類の生薬に、ごま油とミツロウが入っている。

血行を改善し、細胞の再生機能を促進するのだ。効能を同連載から引用しよう。

太乙膏

太乙膏は軟膏のようになっている塗り薬で、切り傷に非常によく効きます。肉芽を形成する働きがあり、指をほぼ切断したような状態になった時でも、太乙膏を「埋め込み」、包帯で巻いておくと、指が再びくっつくと言われているほど高い効果があります。「埋め込み」と言いましたが、この漢方薬は「埋め込む」「盛る」といった使い方をします。「薬をたっぷり指にすくって、傷口にのせる」という感じでしょうか。そうすると、傷ついた肉が再生し、元通りになっていく。

「と言われているほど」と書いてあるところがなんとも曖昧だが、まあ少なくとも、擦り傷、切り傷のたぐいなら使えるのかもしれない。まるでガマの油だね。

何と言っても、生薬が原材料なので口に入れても「OK」というのがいい。口そのものの傷の手当にも使えるし、小さいお子さんがいる家庭でも常備・常用できる。

というのは、この太乙膏。7種類の生薬が配合されているのだが、やや甘い独特な香りがする。そのため、お子さんがつい口にしてしまうということはなきにしもあらずなのである。

もっとも、こうした軟膏は、主たる材料が生薬でも、さまざまな化学的薬品を加えて商品としているので、過信するのは禁物であり、あくまで「口にはなるべく入れないようにする」ことは当然である。

家庭の常備薬は、あくまでも小さい怪我や病気、もしくは応急措置のものであるから、万能であることを求めるべきではないが、やはりいちばんお世話になるのは傷や火傷の手当である。その意味で、神仙太乙膏はぜひ常備しておきたい漢方軟膏といえるだろう。


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