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3000例を超える呼吸器外科手術

肺がんといえば、我が国ではもっとも罹患者の多い癌である。死亡者数も年間約7万2000人(2012年)といわれ、これまたあらゆるがんの中で最も多い。その上、胃や腸のがんと違い、予後が悪いイメージもあるのだが、いや早期に発見できれば肺がんも治る、とスケプティクスに解説しているのが『東京スポーツ』(7月31日付)の記事でコメントする山王病院(東京都湛区)呼吸器センターの奥仲哲弥センター長である。
肺がんでイメージするのは喫煙である。一部の医師は、「タバコと肺がんは因果関係はない」と頑張っているが、スケプティクスに見てもそれは苦しい。

なぜなら、タバコは発がん物質のかたまりであり、それがどういう仕組みで人間の体にがんを発生させるかのメカニズムが明らかでないだけである。

そんなことをいったら、食品添加物だって規制する意味がなくなってしまう。

メカニズムや交絡因子など、わからない部分はあるけれども、とにかくがんと無関係でないものはわざわざ体に入れないようにしよう、ということで、食品添加物は規制され、喫煙のリスクも取り沙汰されているのだ。

それはともかく、一般には、肺がんの原因は、喫煙が70%といわれ、それ以外は大気中の別の発がん物質や、一部の医師によると動物性タンパクのとりすぎも良くないなどといわれている。

そして、喫煙由来の肺がんは、太い気管支にできる扁平上皮がん、それ以外は肺の末梢にできる腺がんといわれている。

今日の記事の山王病院(東京都湛区)呼吸器センターの奥仲哲弥センター長は、そのどちらについても説明している。

簡単に言うと、肺がんも胃がんと同様、早期発見なら、比較的体にやさしい手術で治癒する確率が高くなる、という話である。

私達は、肺がんというと、予後が悪い方のがんというイメージを持ち、それゆえ、検査などが後手後手に回ってしまうということもありがちである。早期発見なら可能性が広がるからこそ、早めに診断した方がいいというわけだ。

奥仲哲弥センター長によると、扁平上皮癌を疑う場合は、「風邪でもないのにせきが出る。それも2週間も続く」とき。

一方、肺の末梢にできる腺がんが早期なら、メスを入れず、5センチと1センチ穴だけで処理できる胸腔鏡手術を受けることができるという。

がん自体もそうたが、手術によって患者の体はダメージを受ける。その負担がきわめて少なくなるというわけだ。

検査は、胸部Ⅹ線検査だけでなく、CTの検査を行うことを奨励している。放射能被曝がしばしば取り沙汰されるが、そのベネフィットも大きいということである。

では、奥仲哲弥センター長は『東京スポーツ』(7月31日付)の松井宏夫氏の記事でどうコメントしているか、具体的にご紹介しよう。

東京スポーツ20140731

「肺がんは治らない病気、とみなさん思っています。なぜ、治らないかー。それには大きく2つ理由があります。①肺がんの検診はいまだに『胸部Ⅹ線検査』しか浸透していません。②スモーカーは肺全体が傷んだ状態で手術をしないといけないし、治療の選択肢も少なくなってしまいます」
 と言うのは、山王病院(東京都湛区)呼吸器センターの奥仲哲弥センター長(55=東京医大・医卒)。これまでに3000例を超える呼吸器外科手術を行ってきた肺がん診断・治療の第一人者。50代の女性でノンスモーカー、そういう人が早期に肺がんが発見されると治療の選択肢は多い。この場合は肺の末梢にできる腺がんの可能性が高く、これであれば胸を切り開くことのない“体にやさしい胸腔鏡手術”が可能である。
「私たちは5㌢の穴と1㌢の穴だけで胸腔鏡手術を行います。5㌢の穴から手術器具を入れ、1㌢の穴には胸腔鏡を入れます。超早期がんであれば、縮小手術で対応できる可能性もあります」
 このように肺がんといえども早期に発見すると、体にやさしい治療ができる。だから、50歳を超えたら胸部Ⅹ線検査のみならず、「胸部CT検査を。そして、スモーカーの場合は「喀疾細胞診」が強く勧められる。スモーカーに多い肺がんの扁平上皮がんは太い気管支にできる特徴があり、この場合は早くに症状が出る。
「風邪でもないのにせきが出る。それも2週間も続くようであれば、ぜひとも呼吸器内科で喀疾細胞診を受けてください。痰の検査だけでがんの有無がわかります。
 そこで扁平上皮がんと診断がつくと気管支鏡でがんの場所を特定する。今日では気管支鏡にある特定の波長の光を出す器具を付けて行う「蛍光内視鏡検査」を行う。
「青い光を当てると正常なところは光るが、がん部分は光りません。光っていない場所の細胞を採って組織検査し、がんの有無を判断します。小さながんであれば、気管支鏡で治療をする『PDT(光線力学的治療)』の適応となります」
 ただ、これほど早く発見されるケースは多くはない。山王病院では年間約100例の肺がん治療を行い、手術は年間約40例、PDTは数例である。だが、しっかり検診を受けていると、この数例の患者のようにPDTで済んでしまうのである。
 そして、手術の40例には実は奥仲センター長の深い考えがある。
「手術はもっと多くしようと思えばできます。が、それでは肺がんの診断・治療が分業になってしまいます。私が患者さんをすべて把握して治療をするにはそれが限度。もう当院での治療はありません、と主治医から転院を促される患者さんがいます。患者さんは裏切られたと思うでしょう。そういう痛院にはしたくないのです。最後まで患者さんの主治医として共に歩む。これが日本的医療だと私は思っております。そのため、呼吸器センタ
ーでは緩和ケア(痛みや苦しみを和らげる医療)のベッドを3床用意しています」
 最後まで患者のニーズに応える医療がここにはある。


繰り返すが、肺がんは日本人でいちばん多いがんである。誰もが参考になる話しであると思うがいかがだろうか。

健康情報・本当の話

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
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